今週から休業を決断した。
正確には私は、これから先のため、事務仕事が多く残されている。
そう、営業だけ完全にストップした。
小さい規模の会社ではあるが、20名以上の従業員がおり、校舎も数校舎ある中、
関連事業なども含めてほとんどがストップする。
ここまで来るのに、様々なことを考えて、考え抜いての決断だった。
零細企業の現状について自分の立場から伝える必要があるのかなと思いこのブログを書いて見た。
開業を続けて来た本日までのこと
コロナ騒動に合わせて、
従業員の自粛希望者には全て応じ、自粛希望の生徒にも全員に応じ、
消毒、頻繁な換気、密集させないための緩和、マスク着用の義務、空気清浄機複数購入など
あらゆる手段を使い、万全な対策で
来校を望む生徒、勤務を望む講師だけで営業を続けた。
3月頭くらいから少しずつ「レッスンに来てください!」とは言えない風潮になった。
そのため、ただ黙って来るかどうかわからない生徒を待って、来たらしっかりと迎え入れた。
「今日も生徒は来るのだろうか?」
そんな日々、綱渡り状態であった。しかし予想に反して、7割くらいの生徒が毎日来てくれた。
「続けてください」という声が実際に多く寄せられたのも救いだった。
しかし、3月下旬より情勢が大きく変わる中で、ほんの一部だが、本当に心無い声も聞かれはじめた。
中には、直接休校を迫る声もあり、やり切れない気持ちをグッとこらえた。
「開業しているのは悪だ!」という風潮。
一刻も早くロックダウンをしてくれという発信や、
SNSを見ても、どこかで影響を受けたような受け売り言葉、
専門家ぶった素人持論での批判。情報の錯綜、世間の過度なパニックや、混乱具合。
海外の特にひどい部分だけを扱った動画の数々、気も滅入るようなシェアの乱立。
そんなのを目に耳にすること自体が、ストレスでしかない。
今回の体験をランク付けするなら
ストレスだったことランキング「ワースト第3位。🥉」
経営的な打撃ランキング「ワースト第3位。🥉」
ちなみに、私の各ワースト2位と1位は、ヘビー過ぎてここには書けない(笑)
ただ兎にも角にも、なんとかメンタルを無理やりでも保ってこれたのは、
この仕事を10年(11年目)、続けていると本当にいろんなことがあって、
今はその時々の「これやべーなー、きついなー」のやべー基準を、
私の中でいくつか持ち合わせてることができた経験値と、それと今回との比較ができたこと。
あとは、周りの会社経営者との情報交換やSNSの進捗
(特に、同業の社長さんやこれを唯一の生業にしている経営者の立場の皆さまが頑張って働いているうちは、俺も負けないと、勝手に励まされてました(笑)勝手にその全ての皆さんありがとう)。
そして一番は、こんな時も文句も言わずに協力してくれた嫁さんは本当に強いと感じたこと。
これがなければ、もう少しメンタル面はぐらついていたかもしれない。
(ただ不要不急ならぬ不眠不休で、この10日ほど対応に追われているので、身体はもう疲れまくってるけどね(笑))
今更だけど経営者が見ている視点
(写真は、懐かしい。どうしても、この会社を作る自己資金が少なかったので、
なるべく簡単なところは、妻と二人手作りで頑張って見た。これが今の会社の出発地点なのだ)
他人からして見たら、店を閉めるのは簡単。
休業という判断は世間の風潮にも同調しているので、クリーンなイメージもつきやすい。
私だって余裕があれば、喜んでこの選択をする。
ただこれは正直、条件が揃った一部の人だけ。
例えば、持ちビルや自分の持ちテナントであること。貯蓄に余裕があること。
パートナーや家族が、会社員など安定した給与を毎月もらっていて、
且つ今の事業を閉めても、生活面で困窮するまでの影響がない。
そもそも規模が小さい(これ一本だけで生計を立てているわけではない)
そんな立場の経営者や、資金に余力のある企業であればこの決断は、容易にできる。
しかし、非国民で、悪と罵られても尚、開業を続ける私たちのような零細企業は、どうなる?
「今も必死になって、お客さんが来なくなったお店を、日々の批判に怯えながら開け続けている経営者」
「アルバイトの給与が払えず、光熱費も厳しいと、休業して家賃と融資返済だけ支払った方が生存率が延びる(それでも数ヶ月程度の延命に過ぎない)という理由だけで未来が見えずに休業している経営者。」
「旅行会社であれば春休み、GW。スクールであれば4月など、繁忙期という生命線を逃してしまった経営者。」
「イベント業を生業にしている企業(特にトラックや倉庫なども抱えている企業)」
航空業界も今は悲惨。
ただし例外的に、ニュースにもあったように、ANAのような大きな企業は日本経済の生命線なので、政府が恐らく真っ先に助けてくれるんじゃ無いかな?と思う。
「習い事スクールがメイン事業の私ですらこの状況なので、名指しで休業を迫られている飲食業や、BAR、宿泊施設などは本当に厳しい状況に立たされているのではないか。」
既に現実問題、私の知人で、もう何名も大変な状況になっている人たちがいる。その投稿を見るたびにやるせ無い思いになる。
自分、家族、大事な人を守るのは当たり前
このような状況下において、誰しもが
自分のこと、家族のこと、恋人や友人、
とにかく身近な周りの大事な人たちを守りたいと思う。それは誰だってそう。
しかし、経営者の場合は、自分と、自分の家族や恋人、知人、会社と、そしてお客さん、会社の従業員。
守るべきポイントが広範囲にある。
会社を維持するためには、
私のような個人事業時代の積み重ねで、細々法人化したような小さなペーペー企業の規模でも、
融資の返済、会社の家賃、会社の光熱費だけで、
新車の軽自動車が買えるくらいの金額が毎月請求されている。
営業はストップしてもそれらは、ノンストップ!これから先もノンストップ!
事業拡大をすればするほど、規模が大きければ大きいほどこの額は増えていく。
「では、さっさと廃業してやり直したら?」
という安直な考えはもっと厳しい。
業種によるが店舗のほとんどは、元々あったテナントに工事の手を加えているので、
現状復帰のための工事費、銀行の返済で恐らく、
中古マンションが買えるくらいの借金は余裕で残ると思う。
事業というのは、大きな金額を動かしそこから利益を作る。
つまり、維持する金額は日々、人一人では支えきれないくらいの金額が動いているということ。
そして、零細企業のリスクは、ほぼそれを役員や代表者が一人で、背負って働いているということ。
従業員を守るために
地方から上京してきた一人暮らしの従業員も何名かいる。
親元を離れ、もちろん扶養からも外れ、
当たり前に税金を納め、その他生きるために諸々を支払い、
実家からの仕送りなどもちろん無く、うちを頼りに働いて自立している従業員が何名かいる。
このご時世、バイトのシフトにも入れず、収入源がうちだけという状況に追いやられている子もいる。
私も、上京してそれなりに苦労もしてきたので、痛いほどに分かるが、
その子たちの雇用保証も確保してあげないといけない。
(雇用調整法もまだ、条件の緩和の可決にまでは至っておらず、短時間勤務で要件に満たない子も中にはいる)
休校にした場合もなるべく仕事を減らさないようにテレワーク(自宅や会社以外の場所で、スクールの事務作業をお願いしている)などを取り入れ、少しでも給与維持ができるような取り組みを始めているが正直、割と現場ありきの職種なため、限界はある。
自分のこと
会社、従業員を助けるのも義務なので、自分のことはどうしても後回しになりがちだ。
小さな企業のほとんどの業種の社長さんは、自分の貯金を切り崩し、
自分の給与はここ数ヶ月一切受け取らずに、事業資金、雇用者維持に回しているんじゃないかと思う。
あるあるの話で、貯金も底をついてきたので、自分の生命保険を解約して回したという話も実際に聞いた。これが今の現状。
家族を守る
その上で、自分を犠牲にして自分の家族のことを助けるために、必死で頑張っている。
そんな孤独な経営者の本当のストレスは、私もいたいほどわかる。
この日のために、企業防衛の事前対策はいくつか備えてあるので、露頭に迷うことはないが、
使い所も今なのかその判断も難しいところ。
残り2ヶ月がリミット!
今現在、休業に耐え抜く余力(つまり会社に残った資金力)は、
ほとんどの零細企業において残り2ヶ月程度だそう。
つまり2ヶ月後までに、
特に名指しの職種、不要不急の職種を一刻も早く助けなければ
2ヶ月後には、ただ企業がどんどん倒産するだけでなく、
それを悲観して、今度は自殺者なども多く出てくるのでは無いかと思っている。
これを見て実態を知っていただきたいです。今日の倒産情報。
日々、多くの会社が倒産しています。
飲食、旅館業などの名前を見ると悲しくなってくる。
<倒産企業情報(随時更新)>
私は昨日の安倍さんの会見を見て、
もちろんいろんな解釈はあると思うが、前半真っ直ぐに自分の言葉で訴えた姿勢について
日本を救いたいという意思は、本心だと感じた。
(質疑応答に関しては原稿見てたけど笑)
世界のいくつかはピークを脱したという情報もあるし、今回のやり方が正しいのであれば、
外出を減らす策に協力することで、私の日々培って来た11年は1ヶ月の傷跡だけ済む。
そのあとやり直せばいい。
私の判断は、誰でも言えるような容易い綺麗事ではなく、
誰かを守る、地球のために、なんて、そんなたいそれたことでも無く、
ただ、一つ。この判断を、これからの未来にかけてみるか。
本当にそれだけである。
そのために、そして、この1ヶ月の休業を無駄にしない努力だけは怠らず、
この判断を正解とするための道筋を立て、次の一手を着々と準備できたらと思う。
ちなみに、この決断は全くもって廃業ではないので悪しからず。
そうただでは転ばないよ。
最後に
会社のすぐ目の前に小さな個人珈琲店がある。
(坂口健太郎さん&川栄李奈さんが出演するTV撮影にも使われたことも)
周りのお店が休業している中、今も頑張って営業している。
40年前から営業している、老舗の珈琲屋さんでおしゃれなレコードが並び
このご時世に唯一店内で堂々とタバコが吸える数少ないお店である。
(喫煙者時代はよく通っていた)
地元の人や高齢者の方に人気の喫茶店であるが、最近お客さんは激減している。
今日も、仕事前にコーヒーをテイクアウトした。
「ありがとう、本当にありがとう。」
いつも無愛想だと思った、マスターのおじさんが笑顔でそう言って丁寧に渡してくれた。
(俺も頑張るよ、助けあいだから。お互い頑張ろう)
心の中で、心の底からそう思えた。
STart creation株式会社
代表取締役 永野隆満 2020.4.8
STart creation株式会社
音源制作(バレエ、新体操、フィギュアなど各種競技用の音源代行)
幼稚園、保育園、学童、ジム、隙間時間を活用したレッスンの提供
各種習い事スクール(語学、音楽、ダンス、その他カルチャー)
舞台、イベント立案・制作(音楽、ダンス、映像、パフォーマンス)
各種レンタルスタジオ事業
地域創生プロジェクト(地域活性化における各種提案)
習い事スクール主宰者向けサポート事業
info@statcreation.biz
Comments