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雲になったアーティストへ #244

こんなことを、まさかブログに書く日が来るなんて全くもって思わなかった。

出会ったのも突然で行ってしまったのも突然。


1年と少し前に会ったのが最後か。まさかあれが最後になるとは思わんかったもんなー。


既に、各所で追悼のコメントが寄せられている中ですが

私が一緒に作品作りをしている中で出会ったある女性が、急に旅たったらしい。


まだ30歳になったくらいだと思う。若すぎるし、なんだか知り合ってから短い期間だったけども

突然のことすぎてポッカリと穴が空いてしまった。なんともやるせない心境である。



彼女との出会いはこの作品。


私の全脚本で、音楽や映像は古い付き合いの仲間たちが担当した。

私にとってはこの作品を密かな鎮魂歌と位置付けていた。


人との出会いや別れは多かれ少なかれ誰しもが経験しているように、

私もある経験から時が経ち、日常を積み重ねることで時間が経ち、

やっとこさ次へと進んでいると確信しているからこそ、最後に残そうと思ったそんな作品である。


そのような、思い入れの強い作品にあって役者もまた、しっかりオーディションから時間をかけて

作っていった。


彼女とはそのオーディションがきっかけである。


たくさんの方とお会いした。その中でもずば抜けて、感性や雰囲気、そして目がとても魅力的だった。


実際に一緒に作品作りをしてみて感じたが、感性だけでなく頭もとても賢い人だった。

複雑な指示も、複雑な意図やコンセプトも

完璧にこなしてみせた。いい役者だった。


何度か飲んだり、飯食ったり、釣りに行ったり、そうやってもっと才能を引き出し、才能を知り、

次はもっと面白い舞台にしたいねーと話したのが1年半前の秋本番後。


これが最後になるなんてなー。

なんか風の噂で、映画の配役が続々決まって、なんかすげー忙しくしてるから

「あぁ頑張ってんなー」なんて密かに思ってたんだけど。


最後の投稿は1週間前。雲について語ったポエムのような作品だった。



優しくて静かで、知的で独特の世界観。そして自由。

この雲のように彼女もきっと空の自由な雲になったんだな。



初めて一緒に作った作品。イキルシス。

この作品で私は、レクイエムも込めてこの世に、私に大きな足跡を残して去っていったある人へ

時間も空も季節も人の流れも、そして生きることも死ぬことも

全てはループで出来ている。そして全ては繰り返して新しくなってまた消えてその繰り返し。

そう表現した。そう思うことで辻褄を無理にでも合わせ、そうすることでもっと強くなれる気がした。



きっと彼女も、ユミコテラダンスという生き様、足跡をしっかりとこの世に残して消えていって、

次は、空の上で雲として生まれ変わり、消えては作って、その繰り返しの中で

彼女の自由な感性を、広い青い空のキャンパスで描き続けるんだろうなー。


人の時間は不平等だと思う。

そんな不平等をこれまで幾つも経験しながらなんとか歩いてきたけど、

俺はこれから先も続く、幾つの不平等を乗り越えていけばいいのだろうか。


その答えをいつか、空の上でまた、理屈っぽく話すのが好きな俺と、感覚的に話す自然体の君とで、

安い酒でも飲みながら語ろうじゃないか。


ありがとう。出会ってくれてありがとう。またいつの日か。


永野隆満




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